バケツ稲 育成記【その3】
- 米ラボ
バケツ稲育成記【その1】 【その2】の続きです。
バケツ稲育成記の3回目になります、お待たせしました。すっかり冬になってしまいました。
今回は、初夏の「出穂、登熟」から秋口までの生育、そして水田から水を抜く「落水」の様子をお届けします。
出穂、登熟
稲が育ってくると、茎の中に稲穂の元(幼穂)ができ始めます。この幼穂が茎の中から出てくることを出穂(しゅっすい)といいます。
出穂後、稲はその幼穂の中にでんぷんをはじめ栄養をため込んでいき、やがて立派な穂になるのです。
わたしたちの稲もすくすくと育っていきました。その際スズメやカメムシがやってきて稲を食べてしまうことが想定されるため、対策としてネットをかけます。
しかし弊社屋上は元々植物を生育するようにできておりません。しかもバケツ稲は10体。なかなかの数です。とりあえず屋上の手すりをうまく使いネットをかけたのですが・・・
この時、ネットが稲に非常に近く、稲が風などで煽られてネットに接触することが度々ありました。
改めて写真を見ても、天井や壁に稲が当たっていることがわかります。
そこで、稲とネットの間に十分なスペースが取れるよう支柱を立てて、ネットを張りました。
しかしながら結果的にこの処置の遅れが、収穫に大きな影響を与えることになりました。
その他、同時期に発生したもう一つの課題にも取り組みました。
なんか葉が黄色く見える・・・??
上の写真を見ていただければわかりますが、ところどころ葉が黄色く、心なしか折れている葉も見られます。
気になってやれ病気か?肥料か?とあれこれ情報を集めますが、これといった決定的な理由は分かりません。
肥料についても、ただ使えばいいということでもなく、状況によって窒素・カリウム・リンの配合具合を変える必要があるとのこと。
「さ、サクナヒメでやってたことそのまんまだ!(過去記事リンク)」となりつつも、ゲームのように現在の圃場の栄養素が見えるわけでもないのです。
とりあえず3つが均等に配合された化学肥料を買い、10体のうちの半分、5体に少し撒いてみることに。
・・・
これが肥料を撒いて数日後の写真です。
肥料投入数日後の写真 (手前:追加投入なし / 奥:追加投入あり)
めちゃめちゃ緑が濃くなってる!
ちょっとびっくりするほどの効き目です。数日でここまで色が変わるとは。具体的に肥料の何が効いたかわかりませんが、パッと見、効いてる気がとてもします。
しかしバケツの中の水面を見ると藻の発生もすさまじいことに。土を藻が覆ってしまうほどです。これはいけない。
ひとまず効くことは確認しましたが、今後も肥料無し、肥料ありを半々にして育成していくこととしました。
刈取適期について
出穂後は、ほどよく実ってきたところで圃場の水を抜き(落水)、その後刈り取りを行います。では、ほどよく実るかどうかはどう判断すればいいのでしょうか?
それは、積算温度と呼ばれる考え方を用います。
積算温度とは1日の平均気温を足していくもので、例えば30℃の日が3日続けば、30℃×3日=90℃・日といった形に表します。
出穂からこの積算温度で数えて「約1000℃・日」が落水の目安と言われています。
そんな適齢時期ですが、弊社には温度を測定しつつ積算温度を計算する測定器もあったりします。それがコレ、刈取適期判定器[OT-300]。
折角なので使ってみることに。
本来は、付属の支柱を圃場に杭打ちして、その上に付属の日除けカバーにセットした本体を据えつけるのですが、ここは屋上。
杭打ちができないため、近くにあったテラス用の椅子の上に置いて運用することとしました。この数値を見ながら、落水の時期を探っていきます。
※なお、OT-300を実際に使用する際は、説明書に沿って正しくお使いください。
落水
そんなこんなでOT-300の積算温度を眺めつつ水を供給し続け一か月余り。
積算温度が1000℃を少し超えたぐらいになっていたので落水します。
・・・が、様子を見てみると先の鳥よけ用ネットによる傷のこともあり、実りの方は極めて怪しいという感触。
そのためまず半分、追肥していないバケツの方のみ落水させ、追肥した残りの半分に一縷の望みを託します。
こちらは最初の出穂後20日ほど後から出穂した穂に合わせて、遅らせて落水することとしました。
稲の傷と、見て見ぬ振りできないほどの怪しい実り。はたして、お米はどうなった!?
今回の記事はこの辺で。
次回【その4】刈り取りおよび収穫の様子となります。お楽しみに!
ライター:バケツ稲育成班・高橋