バケツ稲 育成記【その4】
- 米ラボ
バケツ稲育成記【その1】 【その2】 【その3】の続きです。
今回は刈り取り、天日干し、収穫となります。果たしてどれだけ収穫できるのか?
刈り取り、天日干し
落水から約10日後、とうとう刈り取りのときを迎えます。
心許ない実りではありますが収穫は収穫。
春先に思い立ってからあっという間でした。最初はとりあえずやってみるか、程度の気持ちで始めたこの企画。
成長していくにつれ愛着が沸くものなのだなと実感しました。
干すことを考え、紐で一旦まとめてから根本から刈り取っていきます。
刈り取った稲は乾燥させるため、写真の通り逆さにして縛り、天日干しにしました。いわゆる「はさ掛け」です。
こうしてみると急にそれっぽくなりますね。
水分が高いと保管時のカビ発生や劣化をはじめ、籾すりが出来ない等の問題があります。
お米の水分管理は、必要不可欠なのです!
だいたいこの形で1週間程度放置し、稲を乾かしていきます。追肥をした方の稲も同様に20日ほど遅らせて刈り取り、同様に干していきます。
脱穀・籾すり
乾いた稲を収穫したら次は脱穀です。脱穀は稲から籾を一粒ずつとる作業のことです。
大変な作業ですので、昔からさまざまな機器が作られて、効率のよい脱穀の工夫を求められてきました。
…今回は大丈夫です…。
大した量を取れなかったことは、うすうす気づいてますので、身近にある割りばしやプラスチック容器の淵を使って脱穀しました。
脱穀した籾の画像がこちらになります。
え、これだけ!?
写真だとわかりにくいですが、トレイサイズは約20×15×2.5cmで、A4コピー用紙半分くらいの面積です。
やはり収穫はなかなか厳しい結果となりました。
触ってみても非常に軽く、中に玄米が入っているのかかなり怪しい実入りです。
企画開始、目出しから約半年。
それを考えるとかなり寂しいものがありますが・・・今更悔いても仕方ないので、これを籾すりしていきます。
籾すりについては社内にある籾すり器を用いました。
・・・
籾すりの結果、こちらになります
え、これだけ!?
見ての通りかなりの少なさです。粒数にして382粒。目視で数分で数え終わる量でした。
正直、今回のバケツ稲育成について成功とはいえないのではないでしょうか。
何が、何がいけなかったのか。。
第3回で書いたように、ネットをかけた後ネットとバケツの距離が近かったために、風に煽られて籾がネットに引っかかって傷ついて、稲への負担が発生したのが原因なのか・・・
ちなみに重量は約5.8g。1合の精米がだいたい150gなので約0.037合です。
一口分すら満たしていません。
さすがに落胆です。
一応弊社の穀粒判別器で測定しました。
穀粒判別器「RN-700」は画像解析により、かんたんに素早く玄米・精米の外観品質を評価できる器械です。
本来、評価には最低800粒以上の試料が必要なため、今回の結果は参考値となります。
「整粒等」は、精米歩留に影響のないいわゆる良い玄米のことであり、だいたい8割弱が当てはまっているという結果となります。
一方、着色粒はカメムシ等の食害のほか、細菌等の病害により発生します。3.7%はかなり多いと言えます。
ネットによる虫の防護が不十分だった上、先述したネットと稲との接触により稲が傷ついたためとも予想されますが、単一の理由ではない可能性が高いと考えています。
愛情はたっぷり注いでいたんですけどね
・・・
結論
以上、これらの結果から今回のバケツ稲の育成については、以下のように結論付けました。
- 収量が極めて少なかった。
→育成中に穂の部分がネットにぶつかり傷んでしまい、生育に問題が発生したことが主な要因として挙げられる。
→ネットとの接触以外にも、肥料の追加投入(JAは付録の肥料で十分としている)、苗の植え方(密集して植えすぎたために苗同士がぶつかり傷ついてしまった可能性)、水温管理、中干しのタイミングなど考慮すべき点はいくつも思い浮かぶが、どれほどの影響があったのかは判断が難しい。
- 着色粒が多かった。
→虫害対策をはじめ、稲の扱いを丁重にする必要がある。
これらの課題について、明確に解決法があるものもあればそうでないものもあり、素人が一発勝負でうまく育成するのはかなり難しいと感じました。
それと共に、生産者の方々のたゆまぬ努力によって、私たちの食卓は支えられてると、改めて感じました。
今回の反省点を踏まえて、次回はせめて1合は収穫できるように、頑張りたいと思います!
ライター:バケツ稲育成班・高橋