バケツ稲 育成記【その1】
- 米ラボ
昨年末、こちらの記事(その1 ・その2) で稲づくりの概要をバーチャル体験した筆者。
ゲームをクリアした筆者には、ぼんやりと次にやりたいことが浮かんでいました。
それは「実際に稲を育ててみるか」というもの。
今までの人生で植物はもとより、動物・昆虫・魚類という生物の育成経験がない筆者にとって、完全に未知の体験に近いものとなります。
しかしゲームで稲づくりを体験した直後。
気持ちはいっぱしの農家である(と勘違いしている)自分としては、記事の企画にすることで、仕事の合間に稲を育ててしまおうと思ったわけです。
ただ、東京の中でそうそう水田が見つかるわけもなく、会社内敷地に水田を作るわけにもいかず。
どうしたものかと思っていたところ、JAさんが行っている事業の中に『バケツ稲づくり』なるものがあることを知ります。
読んでみると、種もみから収穫までをバケツで行えるというもの。
社内でも、小学校の教材として広く用いられていることは知られていました。確認すると一般参加も受け付けているとのことで、これ幸いと応募することに。
ロケーションは弊社の屋上。
都内での稲作、はじまります。
今回の記事ではその1として、現在までの進捗と流れを報告したいと思います。
1.芽出し
先日の記事(https://www.kett.co.jp/journal/8529/)では田植え体験記として、苗を田植えする所からのレポートになっていましたが、こちらは苗を作るところから始まります。
バケツ稲事務局に応募すると、育て方ガイドとバケツ一杯分の肥料、そして種もみが送られてきます。
今回は個人宅とは違い社内でスペースもあるため、10杯分のバケツ稲を育てることにしました。
まずは芽出しです。種もみを水に漬け芽を出し、土に植えるための準備をします。水は毎日新鮮なものに取り換えて、大体数日~1週間。
普段の業務で籾を扱うことも多いのですが、芽が出たところをみるのは初めて。こんな簡単に芽は出るものなのかと感心しました。
無事に芽が出たため、次の工程に移ります。
2.土の準備
次はバケツ稲の育成に不可欠な土の準備です。土は黒土を近隣のホームセンターで購入しました。
種まきの際は十分に湿らせるのですが、バケツ稲事務局からの育成指南ガイドによるとその前に土を天日干しすると良いとのこと。
ビニールシートを敷き、その上に土を広げて天日干しにします。
普段の業務でも大量のサンプルを乾かすために天日干しを行うこともあるため、この作業についてはすんなりと作業ができたかなと思います。
これで土の方も下準備ができました。続いての工程に移ります。
3.種まき
芽出しを終えたら種まきに入ります。バケツの7割ほど土を入れ、たくさんの水を含ませます。
今回は13ℓのバケツを用いたのですが、土は大体10kgほど。
付属の肥料粒も忘れずに混ぜ込みます
水は表面にたまらないギリギリのところまで目一杯含ませます。いわゆる田んぼの「ヌチャッ」とする感覚の土が出来ました。
10杯分作るためこれが割と重労働となり、途中社内の通りすがりの方にも手伝っていただいたりしながら作成しました。
土が準備できたらいよいよ種まきです。芽が千切れないように慎重に、土の表面6~7mmくらいの深さを目安に籾を沈め、土を被せていきます。
その後数日経った状態が以下の写真となります。
このように、土に植えてから数日であっという間に新芽が出てきます。
水の状態は常に表面が湿っている程度を保つ必要があるため、毎日バケツの様子を確認し、適時水を追加していきます。
雨の日の風の日も気になって毎日観察です。ネットと支柱と水補給ペットボトルも設置しました。
芽は大体1cm/1日のペースで成長していきます。高さが大体10cm前後、葉の数が3~4枚になったら、次の工程に進みます。
4.植え替え
苗が育ってきたら植え替えの時期です。種まきの段階では大体25粒/1バケツ程度種をまくのですが、この中から発育の良い苗を4~5本根から取り出し、一束にして再度植えます。
この工程を植え替えといいます。
いわゆる『田植え』の時に植えるアレです。
ぐっと稲を育てている感覚が近くなりますね。
大体種まきをしてから2週間弱ぐらいで植え替えを行いました。植え替え直後の様子は以下になります。
ここから水量を増やします。
いわゆる水田と同等に、茎が数cm隠れる程度に水をいれます。
ここまでくるとかなり『田』って感じがしますね。
ここまでで大体目出しから3週間。あっという間でした。
現在の状況および今後
もとより植物の育成経験がほぼ皆無の自分でしたが、成長が想定以上に早いと感じています。現在は社屋の屋上にて育てていますが、朝夕の確認が楽しみになっている自分がいます。
今は下の写真な感じで、背丈も30cmを超えるまでになりました。茎もだいぶ増えているのと同時に太くなり、力強さが見てとれます。
今後はよりしっかりとした根にするための『中干し』を経て、籾ができ始める『出穂』へと進んでいきます。
私たちも楽しみと不安が半々の中、たとえ失敗したとしても経過を記事にしてまいりますので、どうぞ楽しみにしていてください。
ライター:バケツ稲育成班・高橋