ケツトジャーナル

玄米精米白度計C-600《開発秘話》その3

    • 開発秘話

その2のつづき

 

小型化

編:光源の他には、一番わかりやすい違いとして器体サイズが小さくなっていますね。
櫻:もちろんそこも売りにしています。
C-300は平べったく奥行きの長い器械ですが、そういう形状だと人はどうしても物を乗せたくなるようなのです(笑)。開閉蓋を塞がれてしまうことでランプの熱がこもって、樹脂が歪んでしまう事例がありました。
市:器械自体が小型化も光源に関わっています。C-300では発光した光を二分岐させてそれぞれを別の方向から測定対象に当てる構造にしていました。C-600でもその思想を踏襲しつつ光路を半分にしました。光を二分岐させるのではなく、そもそも光源を二つにしました。
編:先ほどお話のあったLEDの選別がここでも効果的な気がします。
市:LEDの光は指向性が強い、つまり、スポットライトのようになってしまう性質があります。試料に光を当てるときに、光が当たる範囲をなるべく同じ明るさになるように照射しなくてはなりません。本器は短い光路の中で、高機能の拡散板を重ねています。
編:nm単位で波長を合わせているのに、適当な拡散板ではもったいないのは想像できます。
市:材料の選定も時間をかけて行いました。結局、使われている拡散板は、A4サイズで数万円するような素材です。
編:それは高級品ですね!驚きです!
市:高いんですけど、測定器としての品質を維持するためには、必須の部品なんです。

 

測定動作による誤差の解消

編:他に時間をかけた内容はありますか?
小:測定時に試料をセットするサンプリングの個人差の解消も目指して、定量シューターを開発しました。
試料ケースは金属製の試料皿に米を摺り切りよりも少し多めになるように入れて、ケースのガラス面に密着させるように蓋を閉めますが、このやり方は新旧変わりありません。
ただ、“試料皿に少し多めに”という曖昧さが不安を与えそうですし、定量採取の確実性を向上することは測定の安定性にも直結するため大きな課題の一つでした。
そして、数え切れないくらいの形状を試作して実験して、たどり着いたのが現在付属している「定量シューター」です。
付属の「定量シューター・カップ」
編:マラソンのように粘り強く進んだ先のゴールだったんですね。評判はどうですか?
櫻:これ単体での発注もよくあります。本器と前のC-300と試料皿に互換性があるのでシューターもどちらでも使えます。
編:市場のスタンダードになっている旧モデルにも使用できるなら、ユーザーさんは助かりますね。
櫻:C-600の購入動機は8~9割が器械の更新だと思われるのですが、繰り返しになりますが、やはり大切なのはC-300と測定値が変わらないことなんです。複数台を所有していても一度にすべて買い替えることも難しいかも知れませんし、そのお客さんの取引先はどっちの器械を使っているかわからない訳ですから。
測定値の信頼性はそのまま、定量シューターで安定性も上がるというのは大きな進化を遂げていると思います。お客様にも好評をいただいています。
小:漏斗のような部品と、そこに投入するお米の量を均一化するためのカップがセットで付いています。
お米をカップに入れて、シューターに流して引き上げるとほぼ定量が、ほぼ同じ密度でケースに詰められるんです。

試料皿の詰まり方にバラツキが出にくい
編:なるほど。試料皿へ詰める作業の誤差すらも軽減して、測定値の誤差要因を徹底的に排除する思想が感じられます。

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