玄米をくじけずに食べる方法【炊飯器編】
- 米ラボ
「玄米をくじけずに食べる方法」の研究は、この度、炊飯器編に突入します。
研究の経緯は前回記事をご参照ください。
炊飯器編 第1弾は、「氷」です。
加熱が始まると炊飯器内では、まずは水の温度が上昇し始めます。
100℃に達すると水分は蒸発し始めます。蒸発しきるまで、温度は100℃を大きく超えることはありません。
水分がなくなると温度が急激に上昇し始めるため、それを検知しているのが炊飯器の仕組みです。
そこで、この仮説を立て、検証します。
白米を美味しく炊く方法として紹介されていることが多いですが、玄米にも応用したらどうなるだろうか?というのが今回の研究です。
検証
材料と方法
材料:玄米(新潟県産コシヒカリ) 300g(2合)ずつ
炊飯器:象印IH炊飯ジャーNP-V10A2型
洗米方法:炊飯器付属資料参照
加水量:630ml(g)(炊飯器内玄米目盛を参考とした)
炊飯モード:通常モード
細かな手順は前回記事を参照します。
対照区
上記条件で炊飯。
氷
上記条件に加え、炊飯直前、釜内に氷を2粒入れて炊飯(1合あたり1粒目安)。
氷も含めた加水量630mlとする。
・・・
炊飯結果と考察
対照区の炊飯時間66分に対し、氷は64分・・・何故短くなった?
2分程度は誤差の範囲かもしれませんが、それにしても氷2粒で炊飯時間が長くなるとは言えない結果です。
しかしいずれも炊飯時間が1時間程度ですので、前回の玄米モード(2時間)と比べれば半分の時間での炊飯に成功しています。
蒸発率、米飯倍率は、両者ほとんど変わらず。
官能試験(実食)へ移ります。
官能試験(実食)
対照区
胚芽のプチプチとした食感が強く、炊けてはいますが粒に芯を感じます。
蒸発率・米飯倍率を見る限り十分に炊けており、前回のびっくり炊き(失敗)よりは柔らかいですが、玄米モードの柔らかさには敵いません。
氷
対照区とさほど変わらない食感です。
強いて言うならば、粒の表面に水分を感じます。
粘りとも表現されるのかもしれませんが、その割には粒の中に芯が残っています。
こちらも蒸発率・米飯倍率を見る限り十分に炊けているといってよいでしょう。
しかし食べてみると表面に余計な水分があるばかりで、中まで浸透していないようです。
・・・
そして、今回の結論としては以下の通りです。
今回は氷を入れても変わらないという結論ですが、氷の量を変える等の条件を変えて試す余地はありそうです。
そちらはまた別機会にて試験するとして、今後も引き続き本筋である通常モード炊飯での、異なる工夫の研究を重ねたいと思います。
ライター:さちのか🍓
参考文献
TDK Techno Magazine第30回「炊飯器のセンサとスイッチ」の巻 https://www.jp.tdk.com/techmag/ninja/daa00223.htm
日本精米工業会 米穀検査技術研修会資料